「俺はまだ、陽香さんの恋人ではありませんよ。俺の一方的な片思い。まぁ、いずれは振り向かせて見せますけど」
ね、と私に向かってウィンクをした。
何かを見透かされた気がして、一気に顔が火照る。
「し、知りません」
熱を持ち始めた顔を見られたくなくて、両手で頬を隠し視界から彼の顔を外した。
そんなこと言われても「そうね」なんて、簡単に言えるわけない。
でも……この先彼と付き合う可能性は、ゼロじゃない。
心のどこかで、彼に惹かれていると感じるから。
あぁ、もう!返答に困るような、言い方しないでよ。
それより、どうして護くんがココにいるの?
神谷さんから、STOPが掛かったって言ってたのに――。
冷静になればなるほど、疑問が湧いて出てくる。
彼がどうしてココに居るのかも、彼女が私を必要以上に敵視している理由も――。
「あなたの恋人であろうが、そうでなかろうが、そんな事どうでもいいわ。あなたが、裕貴を誑(たぶら)かしたことは変わらないんだから」

