クローバー♧ハート - 愛する者のために -


へらっと笑って、掴んでいた私の手を離した。

その手を駆け寄り抱き付く悠の頭にもっていく。

その光景を私は、まるで他人事のように眺めていた。



「悠。大丈夫か?」



優しい笑みを浮かべ、悠の頭を撫でる。

それに対し「うん。平気だよ」と安堵した顔を浮かべて笑った。



「俺は、この子の保育士。一ノ瀬護って言います。あなたのご主人にも、会ったことがありますよ」



営業用の笑みを浮かべて、由依さん挨拶をする護くん。

だけど、ほんの少し目の奥に怒りが宿っているように見える。



「まぁ、あなたが……陽香さん、あなたって最低な人ね。こんな若い恋人がいるのに、裕貴に手を出すなんて」



裕貴から彼について聞いているのか、物珍しそうに彼の頭から足まで視線を動かす。

いやいや、いろいろ間違ってる。

別れてから裕貴に手を出すどころか連絡すらして無いし

第一、護さんは恋人じゃない……今のところは――。

何から訂正すれば、いいのか迷っていると彼が口を開いた。