駆け寄り抱きしめる。温かな温もりに安堵した。

やっと見つけた。遅くなってゴメンね。寂しかったよね、不安だったよね。

本当にゴメンね……でも怪我も何も無くて良かった。

安心したと同時に涙が浮かんでくる。



「ハル、ハル……」



悠もまた何度も私の名前を呼んで、しがみついてきた。

その手は、もう離さないと言っているようにしっかりと強く握られている。

きっと物凄く心細かったのだろう、私の胸に擦りつける彼の顔の辺りの服が少し冷たい。

同じく迷子になっていた子を気遣って、自分も泣きたいのに我慢していたんだと思う。

小刻みに震える体を、優しく抱き締め何度も背中を摩った。



「お母さんですか?」



男の子を連れたキャストの方が、遠慮がちに声を掛けてくる。



「はい。ご迷惑、お掛けしました」



涙を拭いて立ち上がり、深く頭を下げた。