沢山の家族連れの中から、六歳の息子を探すのは簡単なことじゃない。

建物の隅に一人で立っている子供はいないか、泣いている子供はいないか

どんな些細なことも見逃さないように、注意を払いながら探していく。


すると制服を着たキャストらしき女性に、声を掛けられている一人の男の子が目に止まった。

その子は、大きな風船を持って不安そうに佇んでいる。

悠にしては、小さい……違うか。


溜息を吐いて他を探そうとするものの、何故か彼から目が離せなくて

遠巻きに見ていると、その子の隣に少し背の高い男の子がいるのに気が付いた。



「悠っ!」



声を掛けると、キョロキョロと顔を左右に振り私の姿を探す悠。

そして私を見つけると、今にも泣き出しそうな顔を浮かべた。



「ぁ……ハル」



余程不安だったのか、隣にいた男の子をその場に置いて駆け寄ってくる。

その時男の子にぶつかったのか、彼が手に持っていた風船が空中に登っていった。



「悠!良かったぁ」