『あーもう、分かったから僕を代わりにしないで。Honeyhouse、一緒に行ってあげるから』



迷惑そうな物言いだけど、悠の顔は嬉しそうにハニかんでいる。

彼の不器用な優しさ。それを感じて更に嬉しくなり、抱きしめる腕を強くした。


不意に、そんなやり取りを思い出した。

あ……もしかしたら、あの子――。

ふと思い浮かべた場所へ、再び足を走らせた。


もう体力なんて限界が過ぎてる。だけど、足が止まることは無い。

悠が泣いて待っていると思うと、疲れなんて感じていられない。

すぐに行くから、もう少しだけ待って……。


息をきらせながら辿り着いた場所は、琥珀色の体に赤色のジャケットを羽織ったクマの家。

昔から私が大好きな、キャラクターだ。

そこはまるで物語の中に入ったような感覚になる、ファンシーな場所。

ここのどこかに悠がいる。

確証はないけれど、私はそう確信をしていた。



――悠、何処に居るの?