クローバー♧ハート - 愛する者のために -


チラリとミラー越しに後部座席の様子を伺う。

すると私のイライラを他所に、後ろでは案外仲良く話をしていた。

だけど由依さんに対して、普段より大人しくしている感じが伝わる。


きっと悠も戸惑っているんだと思う。

父親だけだと思っていたら、知らない女性が一緒に現れたんだから無理もない。



「今日だけだからね。後でちゃんと由依さんに話してよ」

「あぁ」



安堵の溜息を吐きながら、短く返事をした裕貴。

本当に今日だけ、今回だけ許してあげる。

今日は悠が楽しんでくれたら、それでいい。


遊園地に着くまで、私と裕貴は無言のまま。

車内には、悠と由依さんの楽しそうな声だけが響いていた。