チラリとミラー越しに後部座席の様子を伺う。
すると私のイライラを他所に、後ろでは案外仲良く話をしていた。
だけど由依さんに対して、普段より大人しくしている感じが伝わる。
きっと悠も戸惑っているんだと思う。
父親だけだと思っていたら、知らない女性が一緒に現れたんだから無理もない。
「今日だけだからね。後でちゃんと由依さんに話してよ」
「あぁ」
安堵の溜息を吐きながら、短く返事をした裕貴。
本当に今日だけ、今回だけ許してあげる。
今日は悠が楽しんでくれたら、それでいい。
遊園地に着くまで、私と裕貴は無言のまま。
車内には、悠と由依さんの楽しそうな声だけが響いていた。

