クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「悪い。車の中で説明するから、そろそろ行かないか」



人の眼を気にしたのか、それとも女二人に詰め寄られ居づらくなったのか

裕貴は、そそくさと車の方に歩いて行った。


逃げたわね。もう、肝心な時はいつも逃げるんだから。

昔も今も、こういうところ変わらない。

仕事中は迷いなく指示するくせに、プライベートだとグダグダ。

自分で決めることが出来ず、最後はいつも私が決めていたのを思い出す。

彼の背中を睨み付けつつ溜息を吐いた。



「ハル……行かないの?」



私の服を、ツンツンと引っ張り首を傾げて聞いてくる。



「悠くん、私たちも行こう」



悠の手を取ろうとしたら別の手に取られて、そのまま車の方まで連れていかれてしまった。

何よ……悠は、私の息子なのよ。

嫉妬心を抱きつつ一歩遅れて、私も悠たちの後を追って車へ向かった。