クローバー♧ハート - 愛する者のために -


「初めまして、陽香で――」

「君が悠くんね、初めまして。由依です、宜しくね」



私が言い終わらないうちに、目線を合わせるように屈んで挨拶する。

ッ、感じ悪っ。挨拶くらい最後まで聞きなさいよ。

悠も彼女の何かを感じたのか普段人見知りをしないのに、今は私の後ろに隠れて避けている。



「こら、悠。ちゃんと挨拶をしなさい」



悠を私の後ろから前に引っ張り出す。

強引だったかもしれないけど、躾のされていない子なんて思われたくない。

それに悠は、大人顔負けくらいにしっかりしている子だから。



「……こんにちわ」



思いが届いたのか私の顔を見上げた後、小さな声だけど挨拶をしてくれた。

少し不貞腐れている気がするけど、後で謝れば許してくれるよね。



「照れ屋さんなのかな?」



ニコニコ笑みを浮かべながら、気を悪くした感じも無く悠の頭を撫でる由依さん。