「本当?やった。あ、でも怖い?」とコロコロ表情を変えて、質問攻めをしてくる悠。

ワクワクしている所為か、いつも以上に子供らしい顔を見せてくれている。

いつもの生意気な悠もいいけれど、やっぱり年相応の表情を浮かべてくれるとホッとする。

改めて、大きくなったなと思う。こうして元気に育ってくれただけで嬉しい。


そんなことを考えていると、家の前にこの町には不似合いな

シルバーの高級外車が静かに停車した。

その車は円形にスリーポインテッド・スターが入ったエンブレムの

外車ランキング上位を常にキープする有名外車。


運転席のドアが開き、ベージュのチノパンに白のUネックのシャツを着て

その上に七分丈のネイビーのジャケットを羽織った裕貴が降りてきた。

続いて助手席のドアも開き、真っ白なノースリーブのワンピースに

ピンクのカーディガンを肩に掛けた黒髪の女性が優雅な所作で降りる。


あの人、どこかで……。

記憶を遡り、どこかで会った筈の彼女の顔を思い出す。



「あっ……由依さん」