私の気持ちとは裏腹に、雲もない晴天。気持ちがいいくらい晴れている。
「ハル、さっきから溜息ばかりついてる。もっと楽しもうよ」
楽しむかぁ……昔の私だったら、思いっきり楽しみにしていただろう。
だけど今は状況がまるで違う。
もしかしたら、悠がこのまま失うかもしれない。
そんなことを考えていたら、気が気じゃないのよ。
「ねぇ、ねぇ。僕、ジェットコースター乗れるかな?」
無邪気に私の服の裾を掴んで聞いてくるものだから、思わず笑みが零れた。
私が沈んでいたら、きっと悠は気を遣って本気で楽しむことが出来ない。
ここは開き直って思いっきり楽しんじゃおう。
裕貴なんて、眼中に入れなきゃいいんだ。
「どうかなぁ。春の健診で身長が110㎝だったから、大きいものじゃなかったら乗れるかもね」
私は腰を屈めて、悠と同じ目線になり彼の頭を撫でた。
赤ちゃんの時の寝方の所為か、後頭部が絶壁のようにペタンとなっている小さな頭。
普段は髪の毛で分からないけれど、こうして撫でると良く分かる。

