「ハルは……良いの?それで、本当にいいの?」



今にも泣きそうな顔で、私を見上げてくる。

まるで“捨てないで”と言ってるように感じるのは、どうして?



「あのさ。俺の勘違いかもしれないけど……悠は、お父さんに会ったら、はるさんの元に戻れないって思ってるんじゃないのか?」

「……違う、の?」



私とは反対側にいた、護くんの方を不思議そうに見上げる。

そうか。悠は一人で考えて、そういう結論に至ってたのね。

だからこそ、私に迷惑を掛けたくなくて言い出せなかったんだ。



「あははは。悠くん、お父さん会ったからと言って直ぐに養子になるって事じゃないんだ。君は一度も、お父さんに会ったことが無いんだろ?どんな人か知りたいと思ないかい?」



神谷さんはソファから立ち上がり、悠の前にしゃがみ込むと目線を合わせる。

そして優しい眼差しで、悠の頭を撫でた。



「……しりたい」