「しかし養子となると話は別です。未成年者を養子とする場合、成人を養子とする場合と異なり、子の監護教育という子の福祉の観点が重要になってきます」
「……福祉の観点」
うわぁ、言葉の意味が良く分からない。
福祉ってことは、子供を育てられる環境にあるかどうか、ということ?
それって金銭的なものだとすれば、シングルマザーって不利じゃない。
「それに加え、家庭裁判所の許可と、双方の意志確認も必須となります」
双方の意志……もし、悠があちら側に行きたいと言えば可能ってことか。
もちろん悠は未成年だし、私が決めるってことだよね。
「また養子になる子が六歳未満の場合、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、実父母の同意があれば“特別養子縁組”が成り立ちます。もしこれが適用された場合、親子関係が消滅します」
良く分からないけれど、一つだけ分かった言葉があった。
それは私と悠が、親子では無くなるということ……。
親子関係が消える法律があるなんて――知らなかった。
「つまり陽香さん、あなたの生活環境と悠くんの意志がとても重要ということです」

