クローバー♧ハート - 愛する者のために -


飲食店に働いたことがあるのか、手慣れた感じでテーブルにコップを置いていく。

そして、悠の前にはオレンジジュースが入ったグラスを置いてくれた。



「ありがとう」

「いえいえ。悠くんは、オレンジで良かった?」

「うん」



小さく頷くと喉が渇いていたのか、直ぐにコップを手に取り口に運ぶ悠。



「そうだったね。では、平野さん。今回の依頼は正式なものではないから、どこまで協力できるか分からない。それでもいいかね?」



シルバーの眼鏡を、クイッと中指で持ち上げ私に視線を投げかける。



「はい。予備知識程度でもいいんです。弁護士としての意見をお聞かせください」



きっと今まで多くの人の相談にのってきただろう。

その中には、私のような人も居たかもしれない。

相談することで得た人も、逆に打ちひしがれた人もいると思う。

それでも、今の私たちには専門家としての意見が欲しい。



「分かりました。それでは、今日までのあなたのお話をお聞かせ願えますか?」