飲食店に働いたことがあるのか、手慣れた感じでテーブルにコップを置いていく。
そして、悠の前にはオレンジジュースが入ったグラスを置いてくれた。
「ありがとう」
「いえいえ。悠くんは、オレンジで良かった?」
「うん」
小さく頷くと喉が渇いていたのか、直ぐにコップを手に取り口に運ぶ悠。
「そうだったね。では、平野さん。今回の依頼は正式なものではないから、どこまで協力できるか分からない。それでもいいかね?」
シルバーの眼鏡を、クイッと中指で持ち上げ私に視線を投げかける。
「はい。予備知識程度でもいいんです。弁護士としての意見をお聞かせください」
きっと今まで多くの人の相談にのってきただろう。
その中には、私のような人も居たかもしれない。
相談することで得た人も、逆に打ちひしがれた人もいると思う。
それでも、今の私たちには専門家としての意見が欲しい。
「分かりました。それでは、今日までのあなたのお話をお聞かせ願えますか?」

