「堅苦しい挨拶は、いいから。さぁ、座って。拓篤、お茶を入れてくれ」
目尻を下げ優しく微笑む彼は、私たちをソファへと誘う。
ドキドキ高鳴る心臓を少しでも和らげるように、悠の手を握り一緒にソファへ向かった。
そのあとを護くんも付いてくる。
「護くんだったね。久しぶりに見るが、男らしくなったね」
「もう七年ですよ?それなりに、俺も変わりますって」
悠を挟んで横に座る護くんは、へへッと照れ笑いをしながら頭を掻いた。
「そうか。君が卒業してから、そんなに経つんだな」
「はるさん。俺ね、高校卒業までこの家にお世話になってたんですよ」
へぇ……知らなかった。でも、どうしてこの家に住んでたんだろう。
私、護くんのこと何も知らない。
「親父、護。昔話は、その辺にして……今日は、平野さんの相談にのるんでしょ?」
お盆に、お茶が入ったコップを手にリビングに戻ってきた拓篤くん。

