クローバー♧ハート - 愛する者のために -


『おう、遅かったな。入れよ』



その声と同時に、カチャッと門の鍵が開く音がした。

その音が、まるで私たちの運命の扉を開いた音のように聞こえて

思わず、ゴクリと生唾を飲む。

するとそんな私に気が付いたのか、護くんはフッと微笑んで私の手を掴み

「大丈夫。俺がついてる」と私だけに聞こえるように囁いた。



「他人の家の前で、イチャつかないでくれる?」



いつの間にか奥の玄関ドアが開いて、黒縁メガネを掛けた護くんと同じくらいの

背の高い男性が私たちを呆れ気味に見つめていた。

イチャつくなんて……そんなこと――。

息子のいる前でする訳ないじゃない、と悠の方に視線をやると

何故か、ニコッと微笑えみ口パクで「良かったね」と言った。

良かったね?……何が、良かったんだろう。それとも私の読み間違い?



「た~くまっ。なに、嫉妬してんの?」



拓篤と呼んだ黒縁メガネの男性に、護くんは飛びつくように抱きつく。

それを驚きもせず「阿保か。妬くわけないだろ」と軽くあしらって、苦笑を浮かべる。