数日後、護くんに友達と連絡をとってもらい
弁護士のお父さんに、忙しい仕事の合間をぬって会えることになった。
そして今私は、【神谷】と書かれた表札の前に来ている。
今日、その人に会う日なのだ。
あー緊張する。さっきから心臓がバクバクして、吐きそうなくらい。
「ハル、大丈夫?」
「……ぅん、だいじょうぶ。大丈夫」
全然大丈夫じゃないけど、そう言うしかない。
悠には変な気を遣わせたくないし、今一番緊張しているのは悠かもしれないから。
「はるさん。本当に大丈夫ですか?顔色悪いですよ」
後ろから心配そうに顔を覗き込んで、聞いてくる護くん。
「大丈夫だってば」
そう言わないと、言い聞かせないと足が震えてきちゃう。
ここから私が逃げる訳にはいかない。
あの時、覚悟を決めたんだから。
悠と私が、前を向いて歩くために――。

