「あ、悠。はるさんが迎えに来てくれたよ」



悠の姿を見つけて、護くんが手を降る。

それに気がついた悠は、一瞬だけ私の方を見ると直ぐに友達とのお喋りに戻った。

いつもなら、私を見つけると駆け寄って来てくれていたのに――。



「悠……」



声になるかならないかの小さな音が、口から漏れた。

こんな悠、初めて。

反抗期なんてなかったから、どう接したらいいのか戸惑ってしまう。



「大丈夫ですよ。昨日“嫌い”って言った手前、どうしたらいいのか分からないだけですから。普段通り接してあげて下さい」



そっか。私より、あの子のほうが戸惑っているんだ。

今まで小さな喧嘩はしたけれど、こんな事は初めてだもんね。

こういう時こそ、私がしっかりしなきゃ。



「悠ぅ、帰るよぉ」