「はるさん、こんにちは。悠ですね、ちょっと待って下さい」

「っ、一ノ瀬センセ――」



悠を探すために、その場を離れようとした彼の腕を掴み引き留めた。

どうしても、悠に会う前に聞きたいことがあったから。



「あの。あの後……悠、大丈夫でしたか?」

「俺からも少し話をしようとしたんですけど、ずっと何かを考えてるようで、何を聞いても生返事しかしないんですよね」



何を考えているんだろう。

もしかして、裕貴に会いたいとか思っていたりするんだろうか。



『ハル、嘘つきだから一緒に居たくない。僕、福山の子になる』



そんな事を言われたら、どうしよう。

一瞬、以前見た悪夢を思い出した。

悠が私から離れていく夢。

あれが正夢になるなんて――考えたくない。