それから数日。
護くんからは、何が欲しいのか聞けないまま悠の誕生日が来てしまった。
聞いても「はるさんは、お弁当を三人分用意して下さい」とだけ。
何処かに出掛けるんだろうか。
ピクニックとか?悠が行きたい場所……。
まぁ、あまり出掛けることが無いから何処かに行きたかったのかな。
そう思いながら、お弁当箱におかずを詰めていく。
ピンポ〜ン♪
不意に、来客を知らせるチャイムが鳴る。
「悠、出てー」
「はーい」
パタパタと短い廊下を走る小さな足音。
生意気なところもあるけど、ちゃんとお手伝いしてくれる。
普段は何かしら文句を言いながらするくせに、今日はやけに素直じゃない?
もしかしなくても、自分の誕生日に期待してたりするのかな。
「ハル〜、イチにぃが来たよ」
そう言いながら、リビングルームに近づく二人分の足音。
ふふっ、なんかこういうの良いな。

