クローバー♧ハート - 愛する者のために -


それから数日。

護くんからは、何が欲しいのか聞けないまま悠の誕生日が来てしまった。

聞いても「はるさんは、お弁当を三人分用意して下さい」とだけ。

何処かに出掛けるんだろうか。

ピクニックとか?悠が行きたい場所……。

まぁ、あまり出掛けることが無いから何処かに行きたかったのかな。

そう思いながら、お弁当箱におかずを詰めていく。


ピンポ〜ン♪

不意に、来客を知らせるチャイムが鳴る。



「悠、出てー」

「はーい」



パタパタと短い廊下を走る小さな足音。

生意気なところもあるけど、ちゃんとお手伝いしてくれる。

普段は何かしら文句を言いながらするくせに、今日はやけに素直じゃない?

もしかしなくても、自分の誕生日に期待してたりするのかな。



「ハル〜、イチにぃが来たよ」



そう言いながら、リビングルームに近づく二人分の足音。

ふふっ、なんかこういうの良いな。