他のママさんに聞こえないように、小声で話しかける護くん。

私より二十㎝ほど身長の高い彼は、ちょっとだけ私の方に体を傾けていた。

年下だけど気遣いも出来るし、人一倍仕事も頑張っているから頼りないなんて思ったことない。

逆に申し訳ないくらい、いつも助けてもらっていると思う。

それに悠の事は気に掛けてくれているし……あ、だからと言って他の子より可愛がってもらってるって訳じゃない。

護くんは、いつだってみんなの“マモちゃん”だ。

だけど片親の悠にとっては、凄く頼りになるお兄さんだと思うから。



「そうじゃなくて……だから、あの……悠に、いつ話そうかって――」



幼稚園の室内で、友達と仲良く遊んでいる悠の姿を遠目に見つめた。



「あぁ、そうですね。本当は、専門家と一緒に話せたらいいんですけど……」



確か、護くんの友人のお父さんが弁護士の人がいるって言ってたよね。

今後の話とかも含めるなら、そうした方がいいんだろうけど

でも裕貴の事は、まずは私から悠に話しておきたい。

死んだことにしているし、生きているなんて知ったら凄く驚くだろうなぁ。