クローバー♧ハート - 愛する者のために -


父親――。

最近の悠を見ていると、父親の存在が気になり始めてはいる。

本当は、同性の親が欲しいのかもしれないと。

悠に父親は死んだと、嘘をつき続けるのも辛い。

だけど、それでも私は――。

ギュッと膝上の拳を握り顔を上げた瞬間、左肩にほんのり体温の高い手が降りてきた。



「悠の父親には、俺がなります。だから、引き渡すつもりはありません」



この声、嘘――なんで、ここに居るの?



「ぃち……護、くん」



一ノ瀬センセと言ってしまいそうだったのを慌てて言い直し、左側を見上げる。

すると走って来たのか、額に少し汗を浮かべた護くんの顔がそこにあった。



「ただ、悠にはあなたのことを話します。その上で、悠が会いたいと言えば会わせます。彼が望まないことを、俺たちはしません」