階段をのぼる。
上へ上へ。
そして、屋上の扉を開けた。
「……」
五月上旬だけど、風はまだ暖かくない。
それでも空は晴れていて、真っ青だった。
屋上には誰もいない。
いつきても私だけだ。
理由はよくわからない。
でも、ここに生徒は近づきもしないのは確かだ。
だから、誰の目も気にしなくてすむ。
私に構う人もいないから、無理に強がる必要もない。
「……はぁ」
不意に出たため息。
理由はわかってる。
そろそろ限界が近づいてるんだ。
最近吐き出せてないから…。
扉のそばに座りこむ。
目を閉じて、少し寝ようとした。
その時だった。
――――ガチャ
「「!?」」
顔をあげて、すぐに目が合った。
きっと、相手が私を探していたから。
「――――銀狼…」
気づくとまた、呟いていた。
波打つ銀髪、心の奥まで見透かされそうな目。
整ったきれいな顔。
「……」
「……」
私たちは、長い間何も言わず、ただただ見つめあっていた。
そうする相手の意図はわからない。
……私は、ただ、見とれていた。
改めて見る彼は、本当にかっこいい。
まるで、TVの中で活躍する芸能人みたい。
女子たちが嫉妬するわけだ。
この顔じゃ、惹かれずにはいられないもの。


