…それに、今はちょっとしんどい。
体もだけど、何より心が。
「乗せてくれないの?」
「~~っ!さっさと乗れ!」
グイッと掴んでいた腕を引っ張って、レンは私を後ろに乗せた。
結構乱暴に。
「おら、着けろ」
ヘルメットを投げてよこされた。
「…レンは?」
「あ?俺はいーんだよ」
後ろに乗ってる私を見ながら、そう得意気に笑って見せた。
…なんだ、しかめっ面以外にも出来るじゃん。
「ハハ、それなんの特権よ」
思わず笑ってしまった。
レンの顔が赤くなっていく。
「大人しく被っとけ!」
「わっ」
私の手からヘルメットをぶんどって、私の頭に着けた。
「…やっぱりレンもつけた方がいいよ」
「あ?」
「そこにあるやつ、折角あるんだから使わないと」
私はそう言って、ハンドルにぶら下がっていたヘルメットを指差した。
「じゃないと、私も被んないから」
「お前…」
半分怒り、半分呆れの目で睨まれた。
しかし、私は負けじと目をそらさなかった。
「――チッ、めんどくせぇ」
先におれたのはレン。
勝った!!
「おら、行くぞ。しっかりつかまっとけよ…理子」
「!…うん」
レンの腰に手を回した。
それを確認してからレンはバイクを走らせた。
(無邪気に笑うなぁ…)
頬に当たる風に目を細目ながら思う。
私には出来ない。
少し、羨ましい。
そんな風に笑いたい。
「……いいなぁ」
――――――あ、また。
どうして口にしちゃうんだろ。
幸いなことに、レンは気づいていない。
風の音のおかげだ。


