銀狼が私の頭のすぐ横の壁に、手をついた。
しかも両側。
端から見ると、まるで私に覆い被さるみたいな格好。
おかげで私の逃げ道はなくなった。
顔をあげる。
本当に、すぐ近くに、銀狼の顔があった。
…もしやこれは、一時流行った『壁ドン』と言うやつでは?
いや、『両手ドン』?
――――って、そんなこと今はどうでもいいし!
上の方にある顔を、睨みあげる。
「それに、私は強い。
昨日の事はさておき、一人でも私は十分やっていける。
私に仲間なんていらない…」
眉間のシワは、いつのまにか消えていた。
銀狼は、ただ私を見ていた。
すごく優しい瞳で。
やめて、そんな目で見ないで。
いかに自分が汚れた存在なのか、わかっちゃうじゃない。
「――私に」
はやく消えたい。
映りたくない。
見たくない。
見せたくない。
「仲間なんて必要ない」
「仲間になれ」
「…はい?」


