「あ、絶対そうだ、茶髪ロングで可愛いもん」
「康介、話しかけろよ」
「うわ、まじだ。あれだ」
「いけよ」
聞こえてるよ、高校野球児。
繭は黒髪だから茶髪なのは、あたしだけ。
え、あたし?
そのまま、通り過ぎようとしたとき
「あの」
後ろから落ち着いた聞いたことがあるあの声が聞こえてきた。
とりあえず振り返ってみると、
康介くんがあたしを見つめていた。
「ん?」
「俺のこと覚えてます?」
「うん、泉の弟くんの康介くんだよね?」
「良かったあ〜…覚えててくれて。忘れられてたらどうしようと思ってた。」
そう言うと康介くんはにっこりあたしに笑いかけた。
「あの、康介が笑いかけてるよ女子に」
「まじかよ。こりゃ本気だぜ。」
周りの2人がなんかごちゃごちゃ言ってたけど、そんなの気にならなくて。
「今日はどうしたの?あたしここでバイトしてて、「知ってる」」
「え?なんで?」
「兄貴から聞いた。今日は葉月さんに会いにきた。」
「あ、そっか。今からバイトなの。だからまた今度でいい?連絡先渡しておくから」
「わかった。」
あたしはいらないレシートに自分の電話番号とアドレスを書いて渡した。
「じゃあ、またね」
「またね、葉月さん」
康介くんと別れて、バイトのロッカールームに行くと先に行ってた繭が着替え終わった状態で待ってた。
「どしたの?ナンパ?」
「そんなんじゃないよ、ただ話すことあるっていうから。でもバイトあるからって連絡先渡してバイバイした」
「なに?告白?」
「違うよ、わかんないけどさ。」
「ふーん?」
「ほら、もういいから働くぞ!」
「働くか!」
それから夜11時まで頑張って働いた。

