「そうだよ、知らないの?康介くんって1年生で入ってすぐエースとして試合に出て、今年はもう2年生なのに東東京優勝候補のエースピッチャーなんだよ?」
「えーすごい。喋っちゃったよ」
「それだけ?」
「逆になんかあんの?」
「はあー…女子にすごい人気あるんだよ?ファンクラブとかまであるし他校の女子が試合見に行くとか聞いたし」
「え?おかしくない?暑いのに?」
「それでも見たいんだよ」
「ふーん」
「まあ、葉月は泉の試合も1度も行ったことないもんね〜」
「見たよ?テレビで」
「テレビでじゃなくて!泉だってすごいんだよ?甲子園行ったとき全校応援だったのにあんた、暑いからとか言って来なかったじゃん」
「みんなよくあんな暑いのに見てられるよね、すごいと思う」
「大学入ったのも野球推薦だし、今だって毎日女子がキャーキャー行ってるじゃん」
「それは知ってる。よく一緒にいるとき泉、呼び出されるもん」
「まあ、そこが葉月のいいところでもあるか」
キーンコーンカーンコーン
「よし!いこ!繭」
「はいはーい」
ちなみに、繭とあたしは同じバイト先でほとんど毎日だからシフトもほとんど同じで、こんなに一緒にいてケンカあんまりしないのもすごいとあたしは勝手に思っている。

