淡いピンク色に色付いた桜がヒラヒラと舞う季節。





 桜が視界にちらついてイライラしてくる。





  いや、別に桜が嫌いではないけど。





 でもさ、なんか桜の花って湿ってない?顔に引っ付く事がある。






 止まっていた足を動かし始めた。




 春の柔らかい風が僕の髪を攫っていく。




「鬱陶しいなぁ。髪、切ろうかな」



  邪魔な髪を後ろに払って、前を見る




「ふーん。ここが、あの有名な青南高等学校かー。楽しみ、だね。」



 薄汚い校舎が見えた。



 僕─改め、桐谷 涁(キリタニ シン)



 この高校に今日、僕は入学することになった。