───ずっと聞きたかった言葉。
何度も妄想して、切なくなって。
それが今、目の前で紡がれる。
「お前のことを可愛いと思うのはオレだけでいい」
優しく、でも苦しそうに放たれた甘い言葉。
それと同時に私はケントに包まれた。
ケントの匂いがして、安心する反面に鼓動はうるさい。
「お前のことを幼なじみだなんて思ってない。ずっと一人の女として見ていたんだ…………なあ、お前はどうなんだ?」
「わたしは、」
そこで言葉が詰まった。
素直になっていいか、迷ってしまった。
でも、もういいじゃん。
好きな人が私を可愛いと言ってくれた。
幼なじみという殻を破ろう。


