碧い海の彼方まで。〜夏の記憶〜

『“世界”ってさ、僕たちが知らないことばっかりなんだよ?

小さいときに見た“海”が忘れられないんだ...

だからさ、一緒に見に行かない?』

と言って私の手をぐいぐい引っ張って走っていく。

『“海”?なぁに?それ...』

そのときの私は海なんて知らなかった。

いっときも時間を無駄にしたくないって、いって、

ほぼ監禁状態の毎日に

彼は、私に、

“光”をくれたんだ

『海はさ、こんなに広い。
こんなのじゃ足りないぐらい』

両手を広げて私に見せる。

『ほらね』

彼が振り返った、その先には

ーー宝石のようにキラキラ煌めいた宝石箱“海”が広大に広がっていた。