「もう限界だ」

「そうだ。これ以上、ここにいるのは・・・」




集落の鬼たちは、ざわめきあっていた。
度重なる襲撃に追い詰められていく。





「ここを出よう。人間のいない、秘島を探そう!」




集落は荒れ果てていた。
小屋は壊され、木はなぎ倒され。





「秘島・・・?」

「言い伝えがあるんだ。一年に一度海の先に島が現れる。その島は、容易には入れないが入ればそこには楽園が広がるのだという・・・」

「楽園。すごい、そこには、人間はいないんだ・・・」




琉鬼さんが話してくれたその秘島。
もしあるのなら、もうこれで鬼と人間が無意味に争う事もなくなるかもしれない。




「きっとその人間のいない安全な島が見つかれば、鬼たち同士のいざこざもなくなるはずなんだ」

「うん」

「でも、その島が本当にあるのかどうか・・・。言い伝えでしかないのかもしれない」