鬼羅さんの手元を見ると、泥だらけになった巾着袋。




「ああ!それです!」

「あった?」

「あったのか!?よかったな。大事なもんだもんな」




私の声に遠くを探してくれていた快斗も戻ってきた。
鬼羅さんからそれを受け取るとすっかり泥だらけになっていた。




「落ちて誰かが蹴飛ばしてあっちの方に飛んでったんだろうね」



琉鬼さんがそう言って笑った。
よかった。




「でも、ずいぶん泥だらけになったね」

「はい・・・。でも、巾着はいいんです。中身が大事なものだから・・・」



そう言って私は中身を確認するために取り出した。
赤色のくし。
小さなお花がちりばめられた可愛いくしだ。
中身は綺麗なままで欠けてもいない。
ホッとする。





「お、まえ・・・、それをどこで拾った!」



鬼羅さんが血相を変え私の腕を掴んだ。