鬼羅さんがこっちに来て、その上人間になって1週間。
世間はまだ夏休みです。


鬼羅さんは、神社の神主さんという肩書をもらい1日を神社で過ごしている。
基本、野性的な鬼羅さんは人間の身体になったとはいえ身体は身軽で、しょっちゅう大きな木の上で気持ちよさそうに眠ってる。




「鬼羅さーん!おーい!」



今日もそこで、サボり中の鬼羅さんを呼ぶ。
私の声に木から降りてきた鬼羅さん。


私は、相変わらず鬼羅さんと呼んでいる。
今更お父さんなんて恥ずかしくて言えないし。
鬼羅さん自身もそこまで気にしていない。



「なんか用か」

「用か、じゃないです。なにサボってんですか」

「・・・悪い」

「あ、素直。じゃなくて、お出かけしましょう!」

「お出かけ?」




鬼羅さんはこっちに来てから一度も神社の外に出ていない。
それは、いきなり車やらなんやら見てショックを受けてもいけないし。


少しずつ慣れて行かないといけない、とお母さんと話し合っての事。



だって、鬼羅さんたら家にあるテレビを見て大騒ぎしたのよ。
こんな薄っぺらいはこの中にどうやって人が入ってるんだ!って。

ああ、あれは面白かった。