そして。
家に鬼羅さんと一緒に戻ってきたお母さんはとても幸せそうで。
人間になれる薬があるのだというと、角がなくなるのは少し寂しい、なんて言いながら嬉しそうに笑った。



同じ時を刻んでいける。
その幸せには何物も変えられないのだと思う。



私と鬼羅さんは一緒にその薬を飲んだ。
鬼羅さんは角がなくなり、鋭い爪も人間の物のように変わった。
髪の色だけは白髪のまま。

私は、一束だけ白髪だったその髪はすっかり他の髪と同じ色になった。




身体の中から鬼の血は消えても、鬼羅さんの血が消えたわけじゃない。





「・・・お父さん」

「なんだ」




まだ少し、恥ずかしいけど。
鬼羅さんが私のお父さんとしてここで一緒に暮らしていくんだ。





なんだか、嬉しい。





「鬼羅。由羅。二人とも、大好きよ」

「・・・私も。大好き!」




愛を伝えられる。
その幸せを、これからも噛みしめていく。








END