「これを飲んだら、鬼羅さんはこの水晶に封印されるの?」

「・・・ああ」




呪術師と話をつけに入った鬼羅さんが戻ってくるとその手には水晶と、小さな丸い粒。
この水晶に入っていれば、その力はその神社くらいには届くらしい。
だから、神社を護る程度ならできるんだとその呪術師は言ったらしい。


もともとは敵だったのに、信用できるのかって聞いたら、今はもう鬼羅さんに従順らしい。
過去、やはり襲ってきた時光から何度も鬼たちが護ったことがあるからなんだって。




「お前たちが戻ったのを確認して、俺は行く。だから、お前たちは先に帰れ」

「・・・鬼羅さん。絶対、絶対待ってますから。消えないでね」

「ああ。お前たちに会えるのを、楽しみにしている」

「千代さんのこと・・・、護ってあげてね」

「ああ・・・」




鬼羅さんの決断を、今は受け入れられる。
悲しい最期を迎えてしまった千代さん。
その千代さんに寄り添える時間があるのなら。

数百年の時を共に過ごしてほしい。
その先に、再び出会うお母さんのために。




「じゃあ、また」

「ああ」





私と快斗は手を取り合って、目を閉じた。
帰ろう。
私たちの時代に。