月が2人を照らしてる




ガラッ。

勢いよく図書室の扉を開けると、本を読んでいた西野くんが顔を上げてこちらに顔を向けた。


『立花さん。こっち。』


静まり返った図書室には私と西野くんだけで。

西野くんの声が静かに響いていた。

私は西野くんが座る場所まで行くと、静かに隣に腰掛けた。


『立花さんは部活とか入ってる?』


『へ?』


予想外の質問に間抜けな声が出てしまった。


『…入って…ない…。』


私がそう言うと、西野くんは少し嬉しそうに口元を緩めていた。


ドキン…。

少し、ほんの少しだけ…、胸が高鳴ったような気がした。


『一緒に、本読まない?』


『え?!』


『放課後。暇なときに図書室来てよ。』


無表情しか印象がなかった西野くんが笑っていた。

そんな顔を見ていたら、もう頷くことしかできない。


私がコクンと頷くと、西野くんは最高の笑顔を私に見せてくれた。


この時からだろう。

私と西野くんの関係が、確実にクラスメートではなくなったのは。