月が2人を照らしてる




その後、2人で色々楽しんだ。


聡美から連絡が来なかったということは、なんだかんだ言って2人で居たかったのかなって思う。


「立花さん。観覧車乗ろうよ。」


ああ。定番だね。

そう思いながらコクンと頷く。


あの時から繋がれてた手は、途中で離したりもしてたが、やっぱりまた繋いでくれて。

自然と嬉しいと思う感情を隠せなかったのは、きっと私も彼と同じ想いがあるのだろう。


「きた。足元気をつけて。」


西野くんは優しく私の手を引いて観覧車に乗せてくれた。


係員の行ってらっしゃいという声が耳に入り、私達はそっと手を離すと向かい合うように座った。


「夕焼け、綺麗だな。」


西野くんの言葉で、私はオレンジ色に輝く空を見つめた。


「だね。」
 

お互い何も話さなくなったけど、不思議と気まずいなんて思わなくて、むしろ居心地が良かった。


「あの2人、うまくやってんのかな。」


空を見つめたまま西野くんが言う。


「やってるでしょ。」


「そうだな…。」


それだけ言うと、私達は何も話さずまま観覧車を降りた。