「立花さん…。」


「あ、ごめん。」


そう言い、掴んでいた手を離す。

ここまで来れば探される事もない。2人で遊園地デートを満喫すればいい。


「そうじゃなくて!」


「え?」


もう一度、今度は西野くんから手を掴まれる。


「…っ…。」


「人混みで走ったら危ないよ?あの2人をくっつけたかったのは分かるけど…。」


「…はい…。」


「じゃ、俺らも楽しむか。」


そう言い私の手を引いて歩き始める。


「あの…!…手…。」


赤くなっている顔を隠すように俯いた。


「あー。はぐれないようにと…」


彼は少し顔を赤くしながら意地悪く笑った。


「いつもの仕返し…かな?」


「え…。」


それはどうゆう意味?って聞こうとしたけどやめた。


もしかしたら、私の無神経な行動が、案外彼も私の今の気持ちと一緒だったりして…。


そんな事を思いながら、ドキドキと高鳴っている胸を抑えられることは出来なかった。