「結構混んでるね。真白はぐれちゃダメだよ?」
「あなたにも同じこと言えますけど?」
遊園地の入り口の所で、私達は辺りを見回しながら言う。
「てゆうか…、なんで香川くんと一緒にいないのよ?」
後ろで西野くんと話している香川くんにチラッと目をやり、小声で聡美に問いかける。
「だ、だ、だって…。あっちが来てくれないし…。」
いやいや、あっちも完全にあなたと同じ気持ちだから。
現に香川くんは西野くんと話しながらも聡美をチラチラ見ている。
中学生か!!
「もう…。」
私は深いため息をこぼし、大声で香川くんを呼ぶ。
「な、なに?!」
急に大声で呼ばれた事にびっくりしたのか、間抜けな声で彼は返事をした。
私は西野くんの手を取ると、
「んじゃ。後はよろしく。」
走り出した。
聡美に呼ばれた気がしたが無視無視。
隣で何も言わずに一緒に走る西野くんを横目で見て、これって私達もデートになるのかなって冷静に考えている自分がいた。