「うおぇあ?!」


ビックリしすぎて変な声が出た。
なに今の声?!
むしろ自分の声帯に驚きだわ!!!


「誰がイケメンの無駄遣いだ! んなあだ名初めて聞いたわ!」


「うん。だって今私がつけたからね」


別に、私がどんなあだ名をつけようと知ったこっちゃない。

そう、知ったこっちゃない。のに、



「なんでそれ知ってるの?! 変態?!」



まさか私の心を覗きに来るまでの変態とは。
さすがの私でも引く。



「ここまで嬉しくない誤解は初めてだわ。声に 漏れてんだよ、声に!
というか、多分お前をそこまで思ってるやつは世界でたった一人だな」



半分本気、半分冗談の呆れ顔でそう言った京。
今の言葉(の後半)は素直に嬉しかった。


「というか、なんであんなに急いでたんだ?」


「え? だって、始業のチャイムが……

うぇ?!?!」


……なんでだろう?
私のつけてる腕時計と、教室の時計の指している針が違う。



私の視線で何を見ているのかを気づいた京は、心底バカにしたような視線を投げかけてくる。


「あー、アレか。
時計の針がズレてて時間を勘違いした挙句、廊下を全力疾走して進級早々変なやつだと思われた……と」



なぜいつもこの男はピンポイントで図星をついてくるのか……


むしろ才能じゃん。