FIRST KISS ~オムニバス~









「今日、デート誘っちゃおうかな」
「へ!?」
「楠木くんに」

真剣な顔で言われたから、ドキッとした。
彼は、もう教室にはいない。

私は対応に困って口を開けたままだ。
なんて返せば良いんだろう……。
落ち着かなくて、俯く。

「何でそんな顔するの?」
「え?」
「楠木くんは、あたしが狙ってたんだから」

当然のように言う彼女に怯えた。
何だか、大切なものを奪われそうだった。

「じゃあ、言ってくる」

けど、後姿しか見れなかった。
弱虫で
泣き虫で
何も出来なかった。