クスリ、男が嗤った。


暗い部屋の中に、男の赤い瞳が光ってなんとも艶かしい。


クスクス、男はまた嗤った。


少し長めの髪が、男が嗤うことによって揺れる。


なんと美しい容姿なのだろう。


男が妖艶に微笑む。


周りには幸せそうな顔をして倒れる男女。


いや、倒れているのではないようだ。


周りにおびただしい量の血が飛び散っている。


男の白い着物にもかかったそれは、彼岸花のようだ。


男は、全員の顔を見渡す


「ちっ、今回もハズレか。

不味くて飲めたもんじゃねぇ。」


男はそう呟くと、赤い月の昇る闇へと駆けて行った。