5月16日

暖かい気温。時折吹く風が髪をなびかせる。

今日俺は、高校に入学した。
と言うより、転校して来たようなものだな。

褐色の肌で黒髪、目の色が灰色の一風かわった俺の学ラン姿に、クラスメイトは……何と言うか……興奮していた……?

『 目が灰色だ!ハーフ?まさかの外人!? 』

……入学してから、そればっかだ。

先「じゃあ、自己紹介よろしくお願いします。」

暁「俺の名前は、アカツキ トシムネ。明け方を意味する一文字の暁に、便利の利に、宗教の宗。出身中学は、三条中学です。よろしくお願いします。」

先「暁君は、ご家族の事情でこの時期入学した為、制服がまだ届いていません。制服が届くまで中学の制服で登校するので……。」

……三条中学なんて無い。既に廃校になった学校の名前だ。この制服は、俺の親父の従兄弟から譲り受けたものだ。

俺の入学もかなり急だったから、制服がまだ届いて無い。

この学校は、茶色のズボンに薄い灰色のブレザー、円地色で紺の線が入ったネクタイという、いかにも私立っぽい制服。

正直言って……派手だな。

先「じゃあ暁君、窓際の一番後ろに空いてる席ありますよね?あそこが貴方の席です。これから皆さん仲良くしてくださいよ?」

『はーい!!』

……ノリのいいクラスなんだな。

蛍「暁……君?……隣になった如月 蛍だ!よろしくな!」

暁「……君付けが苦手なら、そう呼ばなくてもいいぞ。」

蛍「あ……悪いな!あんまし人を君付けで呼んだことねぇんだわ。っつー訳で、よろしくな!アカツキ!」

橘「そして、前の席は橘 隼でーす。よろしくなっ。暁君っ。」

暁「おう。」

……如月は……

橘「ところでアカツキ?」

暁「なんだ……名前なんだっけ……白メッシュ。」

橘「白メッシュぅ!?橘だよっ!……如月は、男に見えるか?」

暁「……そうゆう質問をするなら、男じゃ無いって事だな。」

蛍「なんだよ〜!失敗じゃねぇか橘!」

橘「いや〜……驚いた反応が見れると思ったのにな〜……。」

……当たり前だろ……俺は一応狼なんだから、匂いで男女は区別出来る。

蛍「なんで分かったんだ?アカツキ。」

暁「……喉仏。」

蛍「……あぁ!……お前……頭いいな。」

橘「如月は女だよ。お察しの通り。しっかしまぁ〜……随分と短時間で分かったもんだ!」

暁「……別に。」

蛍「まぁまぁ!これからよろしくな!改めて!お前の隣りの席の如月 蛍だ!」

短髪で女子にしてはがっしりした体格。そして何故かズボン姿。足を大きく開いて座り、声も女子にしては低い。一人称も「俺」。……パッと見は男子にしか見えない。

暁「ホタル……。名前だけは女子らしいな。」

蛍「ははっ!確かにw俺の名前くらいだな女子力w」

橘「自覚あんならもうちょっと女子らしくしたらどうだ?男にこんなこと言わせんなよw」

蛍「別にもういいだろ?それに、男に間違えられた方が結構楽なこともあるしよ!」

俺は……変な奴らが多いクラスに入ったみたいだな。