▪▪物理研究室の中▪▪

工「……あの子達とは、仲がよろしいのですね。どうですか?この学校は。」

暁「まぁ……まだ場所とかは分かんないっすけど……。」

工「そうですか……。」

暁「あの……話って?」

工「あぁ……実を言うと、貴方の傷跡の事なんですが。その事について、お聞きしてもよろしいですか?」

暁「傷跡……ですか。」

……どう話そうか。この傷跡は大体、柄の悪い奴らに絡まれた時の傷とか、狼に変身した奴に引っ掻かれた傷とか……現実離れしたものばかりだ……。

工「……貴方、紹介された時に『三条中学から来た』と言いましたね?……実を言うと、調べました。三条中学は既に廃校になっていますよね?」

暁「!?」

っ……バレてる。

工「何故……嘘をつかなければならなかったのか……そして、その傷跡は何故出来たのか……そこが知りたかったのです。」

暁「……。」

工「親御さんに電話をしてもかかりませんでした。……何か、事情があるのですか?」

暁「っ……あの……。」

どうする……。傷跡のことは……打ち明けるか?いや、獣の傷跡の説明はどうする。中学に行ってなくてどうして高校に入れたかなんて、知らないし……。

工「……すみません。やはりやめておきます。」

暁「え……?」

工「込み入った事情があるのでしょう。この話は、無かった事にしてください。お時間もらって申し訳ない。」

暁「いえいえ……でも……いいんですか?……聞かなくて……。」

工「貴方が、話す気になったらでよろしいですよ。まだ、1日しか経っていない相手と全てを打ち明けるのは難しいでしょう。時間もあります。この話は、次回にしましょう。」

暁「はい……。」

……とりあえず、回避出来たな。

工「……お友達、待たせているのでしょう?帰っても大丈夫ですよ。」

暁「あ。……失礼しました。」ペコッ

工「はい。ありがとうございました。」

暁「……。」ガラッ…

工「あぁそれと、暁君。」

暁「はい?」

工「……僕は、貴方の味方ですからね。」ニコッ

暁「……先生、笑えるんですね。」ボソッ

工「ん?……どうゆうことですか?」

暁「いや……あまり先生が笑ってるところを見たことないって言われました。」

工「……ふふっ……僕も人間ですよ?」クスッ

……なんだ……全然笑えるじゃないか。

暁「じゃあ、さようなら。」ペコッ

工「はい。お疲れ様でした。」

ガララ……

工「……そんなに僕は、笑っていないだろうか……。」