「YURIさん」
ビクッ!と体を震わせ怯えた目で私とゆっくり目を合わせる。
「約束を、覚えていますか?私が勝ったら…土下座してください、と言うのを」
「あっ……っ、やればいいんで…「それをやめます。」…は?」
わけがわからないという顔をするYURIさんがあまりにも面白すぎてつい笑ってしまった。
「私が謝ってほしかったのは音楽を馬鹿にしてると思ったからなんです。私は音楽が好きだからそれを馬鹿にしてるなら許せなかっただけ」
でも、違った。この人は本当は歌うことが好きなんだと気づいた。
ただ、この芸能界という世界にいすぎてそれを忘れているだけなんだと自分の気持ちに気づいていないのだとわかった。
だから…
「土下座は、やめましょう。代わりに最後にもう一曲、私“達”の曲を歌わせて下さい。」


