キーンコーンカーンコーン

6限後、おれは教室を走って飛び出した。安子をおいかけるためだ。安子はいつも友達がいないからであろう、授業がおわると、颯爽と教室を去ってしまう。昼休みなどに一緒に帰ろうとはなしかけるのは人目がありすぎる。おれは帰る安子を呼び止めて一緒に帰ることに決めた

「あ。あの、大森さん。」

昇降口で靴をはきかえてる安子におれは話しかけた。

「齊藤くん?」

安子の顔がこっちを向く。やはり、かわいくない。

「一緒に帰ろう?」

振り絞るようなかすれ声でおれはいった。

「いいよ。ちょっと寄り道していくけどいい?」

「あ、うん」

正直おれはさっさと帰りたかったが、安子が授業後、慌てて帰るのにどこに寄り道するのか好奇心ながらも気になった。

「じゃ、いこう」

一瞬だが安子がおれに笑顔を見せた気がした。
おれは安子のあとをとぼとぼついていった。