「教科書14ページ… 足利義満は金閣寺を…」

先生がだらだら授業をつづけるなか、おれは放課後のことをかんがえた。
(放課後、屋上に来てください)
そう書いた手紙をおれは安子の靴箱のなかにいれた。まるで、やってることは女子だなとおもった。
告白台詞は決まっていた。
「好きです。付き合ってください」
この短いフレーズをいうのがとても気分が重かった。

おれは安子の方を見た。真面目にノートをとっている。そして本当にかわいくない。こいつに告白するぐらいなら男に告白したほうがまだましじゃないかレベルだ。

「んじゃここを斎藤にやってもらおうか… 斎藤?おい、斎藤!!」

「あ、はい。え、えーと、どこですか?」

「練習問題2だ。おい、斎藤、ちゃんと授業を聞け。」

クラスからくすくすとわらいがもれる…
きのせいか安子もくすっと笑った気がした。
その笑顔も…
本当にかわいくなかった