「ひより、帰るよ〜。」







「しゅうちゃん、かんちゃん。ちょっと待ってね。」








急いで帰りの準備を済ませて廊下に走る。








「え?永山さん鍵締めてくれるよね?」








「あ、えっと…」








「なにそれ。自分で締めろよ。」








「いいの、かんちゃん。うん、私が閉めるよ。」








「ありがとうー。」









あの子はクラスで中心的存在の、松原理子ちゃん。
逆らう人なんて誰もいない。




私は永山ひより。
クラスでも地味な方で身長も一番前。
148cmだから仕方ないんだけど。




そして、このふたりは、
一人が赤坂環太。
あだ名はかんちゃん。
しっかり者でいつも私としゅうちゃんのお世話役。




もう一人が、飯田修斗。
あだ名は修ちゃん。
おっとりしててマイペース。
基本忘れ物が多い。






わたし達三人は幼馴染みで、高校も一緒。








「ひより優しすぎだからな。」








「…けど、松原さん困ってたもん。」








「…あれが困ってるように見えたか?」







と、ため息混じりに話す環ちゃん。
そんなの分かってるもん。
だけど、断れないんだもん。








そんな時にも修ちゃんは、一人であくびをしてた。