『待って...待って!“そうちゃん”!』


...ピピピピッ!ピピピピッ!

私は一番この音が嫌いだ。
「夢か…はぁ、ねむ」
あと15分くらい寝れるだろう…
「沙奈!何してるの!早く起きなさい!」
「う〜ん…もうちょっと寝かせて〜」
「だめ!ホットケーキ作ってるから早く食べちゃいなさい!」
「はいはい…」

朝には弱い。
カーテンから差し込む光が眩しい。
制服に着替えてリビングに行くと私の大好きなホットケーキが机の上に置いてあった。
「ん〜いい匂い。いっただっきま〜す」
ふわふわしたホットケーキにバターをかけ一口。
「やば。うま」
お母さんは看護師をしていて病院で働いている。
私が小3の時に親は離婚。
さすがに離婚をするという事に抵抗はあったけど お母さんは私を引き取り女手一つでここまで育ててくれた。

ホットケーキを食べ終わり、歯磨きして化粧を軽くする。
化粧は絶対にかかせない。
「沙奈…私は化粧してないほうが好きよ」
お母さんがポロリと口に出した。
「私は化粧しなきゃ嫌なの!お母さん、ほら仕事仕事!」
私はお母さんの言葉に言い返し、もう言われないように早く仕事に行くよう促した。
「はいはい。じゃ 行ってきます」
「いってらっしゃい」

パタン…

お母さんが家を出た所で時間を見てみる。
するともう8時を過ぎていた。
「は!?やば!急がなくちゃ!」
私は急いで鞄をもち赤い自転車に乗って学校に向かった。
私は高校3年生の加藤沙奈(かとうさな)。
一番近い公立の高校に通っている。
道端に咲いている花がかわいらしい。

学校には大体10分ぐらいで着いた。
自転車置き場に自転車を置き、歩いていると、
「沙奈、おはよ〜」
後ろから声をかけられすかさず振り返る。
「お、いくちゃん。おはよ、一緒行こ」
「うん、行こ行こ〜」
彼女は志水育子(しみずいくこ)
目が大きくて愛くるしい顔立ちが羨ましい。
高校2年生の時から同じクラスだけどそれほど仲よかった訳じゃない。
だけど3年になりまた同じクラスで急激に仲が良くなった友達だ。
「昨日ね〜熊本行ってきたんだけど、くまモンがいたの!」
「は?まじ?いいな〜」
「そそ!でねくまモンと一緒に写真撮った〜」
「お〜、こんな可愛いいくちゃんと写真撮れるなんてくまモン良かったじゃん」
ゲラゲラ笑いながら話し教室についた。