「やっぱ結海の歌、いいな」 「えへへ」 私は屋上で、澄んだ空を見上げながら歌うこの時間が好き。 そして彼は、澄んだ空を見上げながら歌う私を好きって言ってくれる。 もちろん、私もそんな彼が大好き。 私、葛西結海(Kasai Umi)。 高校3年生。 歌うことが好き……っていうか、それぐらいしか取り柄がないと思う。 晴れた日は毎日彼と一緒に屋上に来て、歌を歌うのが日課みたいなもの。