「じゃあさっそく始めちゃって。軽く自己紹介したら歌い始めたらいいよ」
伊藤さんに軽く頷き、ステージに上がる。
伊藤さんにマイクをもらって歌おうとしたけど、いいことを思いついた。
まだ握りしめたままだったイルカのキーホルダーを見る。
そして私は、マイクにキーホルダーを取り付けた。
「ふふっ」
マイクが揺れるとイルカも揺れる。
要と繋がってるって感じがする。
思わず笑ってしまった。
気をとりなおしてマイクを握りしめ、大きく息を吸った。
「商店街のみなさん、こんにちは!私は、KanaUといいます!」
そう言うと、「何々?」「路上ライブじゃん?」「歌手?」と、商店街を通っている人たちが私を見た。
そのまま通り過ぎる人もいたけれど、興味を持って立ち止まってくれた人が数人いた。
それだけで、心が温かくなった。

